みんなの知らない教育の世界

本記事では、ほとんどの人が知らないであろう教育の世界を少しでも多くの人に知ってもらえたらと思って書きます。
病弱教育とは
冒頭でも書きましたが、病弱教育と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
多分、あなたが思い浮かべたことでほぼ正解です。
ざっくりと言うと、病弱教育は病気療養中の子どもたちに行う教育のことです。
病弱教育を受ける子どもたちは日々病気と闘っています。
通常の小学校や中学校、高校に通う子たちとは受けられる授業時間数も違えば、治療のため日々の生活だけでなく学習にも大きな制約や制限がついてきます。
ここで言う「病弱」とは、医学的な用語ではなく、病気にかかっているため体力が弱っている状態を表す意味として使われています。
その病弱の子どもたちが受ける教育を病弱教育と言います。
僕は病院の中にある学校で日々入院し病気と闘っている子どもたちと一緒に学習を行なっていました。
それではどのような子どもたちがいるのでしょうか。
対象となる疾患
文部科学省が2013年に出した、「教育支援資料」に例示されている病気は以下のものです。
①気管支喘息(ぜんそく)
②腎臓病
③筋ジストロフィー
④悪性新生物(白血病、神経芽細胞腫)
⑤心臓病
⑥糖尿病(1型、2型)
⑦血友病
⑧整形外科的疾患(二分脊椎症、骨形成不全症、ペルテス病、脊柱側湾症)
⑨転換
⑩重症心身障害
その他、アレルギー疾患や心身症(反復性腹痛、頭痛、摂食障害等)、精神疾患(うつ病、双極性障害等)、肥満など。
引用:教育支援資料(文部科学省,2013)
病弱教育の対象となる病気はたくさんあります。
言い換えれば、今の子どもたちはこれだけの病気を抱えているんです。
僕は、④番の悪性新生物いわゆる小児がん等の子どもたちを多く見てきました。
子どもたちの病気が治れば退院し地元の学校へと戻っていきます。
しかし、全員が治るとは限りません。
教育と向き合うだけでなく、病弱教育では命とも向き合わなければなりませんでした。
通常の小学校や中学校とはココが違う!
病弱教育を受ける子どもたちのことを「病弱児」と呼びます。
病弱児は、特別支援学校(病弱)で学習するのですが、通常の小学校や中学校と違う点をいくつか挙げます。
授業時数が少ない
病弱児は、日々の生活の中で治療がメインとなってきます。
その合間で1日2時間や3時間勉強します。
法律では、1年間に受けるべき授業時数が決まっています。
しかし、病弱児はそれに到達することは難しく学習内容も全てを学習することは難しい場合もあります、
この問題は「学習空白」と呼ばれ、病弱教育の中で非常に深刻な問題となっています。
友達と学べない
個人的には、教員をやっていたときにこの点が一番キツかったところですね。
学校教育のよさは、「多様な意見に触れることができる」ところだと考えています。
友達の意見と比べて自分の意見はどうだろう。
自分の意見のよさ、友達の意見のよさはなんだろう。
こういったことを学んでいくことが、社会に出たときに大勢の人と関わる力の素地となると考えています。
しかし、病弱児はベッド上で学習することが多く1人で学習を進める場合がほとんどです。
(ごくたまに病院のプレイルームで同じ病気の子どもたちと勉強していました。)
この問題も今後早急に解消しなければならない問題ですね。
最後に
いかがだったでしょうか。
小学校や中学校のように教室で30人、40人集まって勉強する姿が学校教育の主な姿ですが、病気の子どもたちはその限りではありません。
こういう子たちがいるんだな〜ということを少しでも知ってもらえたら嬉しいです。
しかし途中でも書きましたが、病気が治って退院していく子たちばかりであれば良いのですが、中にはもう2度と会えない、そんな別れをしなければならない時もあります。
病弱教育に携わる教員は、日々命とも向き合いながら教育を行なっていると言うことも知っていただけたら嬉しいです。
これから、子どもとのかかわりで印象に残っていることなども書けたらと思います。
それではまたお会いしましょう。